和の建具はとても種類が多く、知れば知るほどその魅力に惹かれてしまいます。夏は風を取り入れ、冬は障子で室内を明るくするなど、日本の住宅は用途や季節によって建具を使い分け、着替えるように生活を整えてきました。古い建具はマンションやアパートなどにも設えることが可能です。壁にはめ込むだけでその先に広がりを感じることができ、ソファやカーテンを変えるよりも大きく雰囲気が変わります。緻密な細工を施したものや、貴重な手延べガラスのはまったものなど、豊富に取り揃えてある中から、建物の雰囲気に合わせてコーディネイトをさせていただきます。時には「この建具を使いたい」という思いが先にあり、間口のサイズを建具に合わせて改修することもあります。〈民家〉の仕上げにおいては効果的で重要なアイテムとなります。
日が暮れて、窓から電球色の明りがこぼれる〈民家〉の風情もまた格別です。建具と同様にインテリアの要になる照明は大正から昭和初期の年代物の電傘を使用すると一層味わい深い空間を演出できます。天井から下がるペンダントライトや、壁掛けタイプのブラケットなどの照明は、設置する場所に適切な形を選び、配線類はできるだけ目に付かぬよう壁の内側などに埋設工事を施します。場所によってはスイッチを木製カバーで柱に同化させたり、あるいは、大正・昭和の初期風にあえて碍子などで見せる配線を演出として施すことも可能です。